咳、咳喘息、痰
咳(せき)は喉、気管支中の痰などの分泌物や誤って入ってしまった食べ物やゴミなどを取り出そうとする生理的な反射です。気道に異物がありますと、急激に空気を吐き出す動作で、気道から異物を除去する働きをします、これは咳(せき)です。 咳(せき)は日常的にしている動作ですが、実際には複雑な反射反応で、肺と気道を保護する大切な手段です。咳(せき)は他の防御機構とともに、吸いこんだ粒子から肺を保護します。ですから、咳(せき)をすると、粘液や肺から排出された細胞などが混ざった痰(たん)が出てくることがあります。
咳(せき)その症状はさまざまです。特に、胸痛や息切れ、大量の痰、粘り気の強い(痰)たんなどを伴うせきは、苦しいものです。しかし、タバコを吸う人にみられるように、せきが数十年も続いているときには、自分では咳(せき)をしていることを自覚していない場合もあります。
咳(せき)は気道(咽頭・喉頭・気管支など)や横隔膜に何らかの刺激が加わり誘発される激しい特発的呼吸運動です。刺激性のガスや異物、気道内分泌物による物理的刺激や化学的刺激のほか、肋膜炎、気管支炎,肺炎、腫瘍による気道の圧迫、などによりおこります。咳(せき)反射は、気管支粘膜の機械的受容器、化学的受容器、伸展受容器、あるいは肺の伸展受容器が刺激され、そのインパルスが求心線維(舌咽神経、迷走神経、横隔神経)を介して延髄の迷走神経知覚神経核付近に存在する中枢に到達します。咳は中枢からは遠心性線維(迷走神経、下咽喉神経、肋間神経、横隔神経)を介して咳運動を行う各部位へ伝えられます。咳反射は本来気道内異物、喀痰の出すのためにおこる防御反応であるため、むやみに咳 を抑制するべきではないが、持続的な咳による睡眠障害、悪心や嘔吐による食物摂取の障害、咳(せき)による肺胞の破壊、肺気腫の原因となるので抑制が必要となります。
何かしらの疾患のほかに、冷たい空気を急激に吸い込んだり、熱い風が入ってきても咳がでます。よく熱いラーメンやうどんをすすりながら咳(せき)込んでいる人がいます。食べたものの誤飲や空気中のホコリによって咳き込むものはあまり心配ないです。咳(せき)はこうした心配のない生理的な咳(せき)とそうではない、何か疾患が隠れていて咳(せき)が出る場合とがあります。風邪や肺炎、喘息や肺の疾患、咽頭炎や喉頭炎など咽喉系の疾患でも咳がでます。
気道が刺激されると、咳(せき)が出ます。細菌やウイルスによる呼吸器感染症は気道に炎症を起こし、よく咳(せき)が出ます。アレルギー性物質も気道に炎症を起こします。タバコを吸う人がせきをするのは、タバコの煙に対する反応と、タバコの煙によって気道の異物を除去する髪の毛状の突起(線毛)など、気道を覆っている細胞がダメージを受けるためです。
痰は気管支で作られた粘液、はがれた上皮、血管からの漏出物などで出来ています。病気の時にはたくさん粘液が出て、それに白血球などの炎症性産物が加わり量が増えます。
痰(たん)は、気道内の分泌物などに細菌やウイルス、ほこり、種々のはがれた細胞などがまじったもので、健康な人で1日数10ミリリットル出ています。ただし、95%が水分のため、気道から再吸収され、実際にはなにも出ない、つまり、たんがないのが普通です。
異常にたんが多いのは、なにかの理由でたんが増えたか、気道内でたんの移動がうまくいかなくなったかのどちらかです。つまり健康な状態とは、これらの相反するはたらきのバランスがうまく調整されている状態をいいます。
| 痰「たん」の種類 | 原因 |
|---|---|
| 粘りけの少ないたん | かぜ(初期)、気管支炎(初期)、肺水腫 |
| 粘りけの多いたん | かぜ、気管支炎、咽頭炎、喉頭炎、気管支喘息 |
| うみのまじったたん | 肺結核、気管支拡張症 |
| 血のまじったたん | 肺結核、気管支拡張症、肺炎、肺がん |
痰(たん)の状態は、診断の際に役立ちます。黄色や緑色、茶色がかったたんは、細菌感染を意味します。透明で粘り気の強いたんは喘息(ぜんそく)に特徴的です。たんを顕微鏡で観察し、細菌や白血球がみられれば、感染症の疑いが強くなります。白血球のうち、好酸球が認められれば喘息を意味します。出血を伴うせきでは気管支炎を疑いますが、肺癌(はいがん)の場合もあります。
咳喘息は、ゼーゼー、ヒューヒューや呼吸困難がなく、慢性に咳だけが続く病気です。
咳喘息は正式な喘息ではありませんが、喘息の前の段階と考えられています。原因はよくわかっていませんが、最近、非常に増えている病気で、多くはかぜに続いておこります。かぜの後に3〜4週間以上咳が続いたら、この病気を考える必要があります。最近は喘息に移行するため注目されています。
咳型喘息の特徴はまずは空咳(痰を供なわない咳)です。また出やすい時間帯は深夜から早朝にかけて多いのですが、必須ではありません。咳は日中にもでます。咳型喘息という名前はついていますが、少しでも喘鳴があれば、喘息や他の病気を考えます。風邪や運動、天候、会話をすること等によって、咳はひどくなります。咳の程度は様々ですが、ひどい場合は肋骨の骨折を起こすこともある程の強い咳が出ます。 アトピー素因がある場合が多く、ハウスダストやダニといった抗原(アレルギーの原因となる物質)に対し、特異的IgE抗体という蛋白質が血液中に増えていることも多い病気です。呼吸機能は正常ですが、ピークフロー値の日内変動が見られることが特徴です。また気管支拡張剤を使用すると咳が良くなることから、わずかですが気管支が狭くなっていることが推定されます。咳喘息では、気管支肺胞洗滌液中や生検で採取してきた気管支粘膜内に好酸球という白血球の一種が増加しており、気道の炎症が関与しているものと考えられています。
気管支ぜんそくは、肺(気道)が慢性的に炎症を起こすことで、気道が狭くなったり、過敏になったりする病気です。この炎症がくり返し起こるので、ゼーゼーしたり、胸苦しさや咳が出ます。呼吸困難を起こした状態を「ぜんそく発作」といいます。重症の発作を「ぜんそく重積発作」と呼び危険な状況です。
(喘息)ぜんそく発作を起こす引き金のひとつはアレルゲンの吸入です。家のダニや花粉、ペットの毛、ほこり(ハウスダスト)を吸い込むと発作が起きます。また、牛乳、ピーナッツ、魚介類などで発作を起こす人もいます。アレルギーについてはある程度の遺伝的な体質が関係しています。
(喘息)ぜんそく(成人発症)は、感染症、肺気腫などが原因のこともあり、原因を複雑にしています。かぜのウイルスで発作が誘発されることもあり、アスピリンなどの薬物によっても発作を起こすことがあります。また、(喘息)ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎(アトピー、じんましん)は、合併して起きてきます。
一般に(喘息)ぜんそくといわれているのは、気管支ぜんそくのことで、発作的な呼吸困難がくりかえしおこる病気です。喘息の症状としては、まず発作的な呼吸困難がみられます。このため患者は前かがみの状態で呼吸をします。
その他の症状としては、脈が早くなり、顔色も赤くなって、汗をかきます。こうした呼吸困難は数分から数時間続き、ねばったたんがきれると自然に呼吸が楽になります。
こどもの場合、そのほとんどは2〜5歳位までに発病するといわれ、一般には12歳位までがもっともなおりやすい時期といわれます。この時期に徹底的な治療をすることが大切で、時期を逸しますと、そのまま成人に移行することがあります。この時期の特徴としては遺伝的素質が多くみられ、アトピー性の湿疹や、アレルギー性鼻炎を伴うことが多いようです。大人の場合、生活環境や家庭環境などの変化など人生の節目となる年齢に多いようです。例えば、子供の独立、家の新築、定年退職などでほっとしたとき、結婚、出産、転職などいろいろありますが、これらは小児期の過ごし方や体質的な素質などの身体的要素のうえに、心理的要素が加わりやすいためにおこります。
(喘息)ぜんそくは、四季のうち秋ぐちから冬にかけてや、つゆどきや春さきにおこりやすく、一般に季節のかわりめが要注意です。実際に悪化する季節のきまっている人が比較的多く、これは気温や湿度の変化のほか、その季節の花粉類やダニ類など、アレルゲンの発生とも関係があります。また、昼と夜では夜の方が断然多く、とくに夜明けにかけて発作をおこす人が多いようです。これは、自律神経のはたらきと関係があるといわれています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、昼は交感神経が緊張しているため気管支が広がり、発作が少なく、夜は副交感神経が緊張しているため気管支が狭くなり、発作が多くなります。
咳、咳喘息、痰鍼灸治療症例 :咳患者さん44名、取穴:肺兪、定喘、魚際、合穀、尺澤。電気針。定喘にお灸。
咳、咳喘息、痰鍼灸治療臨床経験 :咳の原因治療が必要です。原因不明咳、咳喘息には、薬より効果が早く、確実に治ります。当院では、1年経っても咳が治らなくて、咳で夜が眠れなくて、困っている患者さんをたくさん治ってきました。
咳患者さん44名、完治したのは29名でした。