手根管症候群(正中神経麻痺)
手根管症候群(正中神経麻痺)は、手首を通っている正中神経が圧迫されて痛みを生じる病気です。手根管症候群は、正中神経が圧迫されることによって起こります。正中神経は、手首の手のひら側の手根管と呼ばれる部位を通っており、手の親指側に分岐しています。手根管とは、手首の手の平側で、骨と靱帯に囲まれたトンネル状の部位のことです。この中を正中神経と指を曲げる腱が通っています。ここは解剖学的に狭くなっているので、腫れを起こすなど、さまざまな理由で線維組織の束により手根管が圧迫を受けます。ちょっとした圧迫でも神経が傷害されやすいのです。その結果、手指の感覚や運動の麻痺を起こします。
手のしびれの3大原因として、脳血管障害、糖尿病、頸椎(けいつい)症のものが挙げられます。一方、これらとは別に最近、患者数が増えているのが手根管症候群です。
手根管症候群(正中神経麻痺)は珍しいものではなく、女性に多く見られます。発症年齢には妊娠、出産前後と閉経前後の二つの時期にピークがあります。また手作業の多い職種でも起こりやすいようです。
手根管症候群(正中神経麻痺)は片手または両手に起こります。ねじまわしを使うときのように、手首を伸ばした状態で繰り返し力を入れる動作を要求される人は、特にリスクが高くなります。コンピューターのキーボードを使うときの姿勢が悪い場合も発症しやすくなります。振動する道具を長い間使用する場合にも手根管症候群を起こすことがあります。妊娠中の女性や、糖尿病、甲状腺機能の低下、痛風、関節リウマチのある人もこの病気のリスクが上昇しています。
正中神経が圧迫されることによって現れる症状は、親指、人差し指、中指の知覚異常、しびれ、ヒリヒリする感覚、痛みです。ときには腕や肩に痛み、熱感、ヒリヒリする感覚が生じます。就寝中の手の位置によっては、痛みがひどくなることもあります。時間とともに、動かさないでいる手の親指側の筋力が低下し、萎縮していきます。
手首の手のひら側にある骨と靭帯(じんたい)に囲まれた手根管というトンネルのなかを、正中神経と9本の指を曲げる筋肉の腱が通っています。手根管症候群(正中神経麻痺)はこのトンネルのなかで神経が慢性的な圧迫を受けて、しびれや痛み、運動障害を起こす病気です。
前記のようにさまざまな原因があるので、ひとつに限定することが困難な場合があります。
特別な原因が見あたらないことが多いのですが、手首の骨折や脱臼、手根管部の腫瘍やリウマチなどが原因で発症することもあります。また人工透析を行っている人では、年数が長くなると発症しやすくなります。手作業の多い職業との関連もあるようです。妊娠中と閉経後によく発生することから女性ホルモンとの関係が示唆されています。
初めは人差し指、中指を中心に親指と薬指の親指側に、しびれと痛みが起こります。これらの症状は朝、目を覚ました時に強く、ひどい時は夜間睡眠中に痛みやしびれで目が覚めます。この時に手を振ったり、指の運動をすると楽になります。
進行すると親指の付け根の母指球筋(ぼしきゅうきん)という筋肉がやせてきて、細かい作業が困難になります。手根管症候群(正中神経麻痺)重症になると、手のひらの親指側の膨らんでいる部分(母指球)が萎縮してきます。母指球があることで、親指が他の指と向き合う、人間ならではの特徴的な手指の動きとなり、細かい作業ができます。こうした役割のある母指球が萎縮すると、鉛筆を落としたり、OKのサインのような指の形などもできにくくなり、日常生活に支障が出てきます。
母指の付け根の筋肉が麻痺することによって、つまみ動作がしにくい、ボタンをかけにくい、箸が扱いにくいなどの症状として現れます。親指を他の指と向かい合う位置にもっていく対立運動ができなくなります。
通常、手指のしびれで異常に気づきます。いわゆる「しびれ」とは、物に触れた感じが鈍い、いつもより強い、異質な感じ、あるいは触れていないのにビリビリ、ジンジンするなどのいろいろな知覚異常を含んだ表現です。知覚傷害の範囲は母指から環指で、一指だけのことも四指全部のこともあります。
小指の知覚傷害は起こらないはずですが、全部の指にしびれを感じる人もおられます。手を振るとしびれが軽減することも特徴の一つです。夜間、あるいは朝方に手がしびれて目が覚めたり、肩や上腕部の痛みを伴うこともあります。
運動障害は、運動麻痺が進むと筋肉が痩せてきます。まれに、知覚傷害よりも運動障害の方が著しいこともあり、この場合気づくのが遅れがちです。また、この病気は両側性に起こることも少なくありません。
外来診察で見当がつきますが、知覚検査や電気生理学的検査なども行って診断を確定します。
手根管症候群は神経伝達速度で診断されます。専用の装置で皮膚の上から微弱な電流を流し、神経を流れるスピードを測定するが、2〜3割遅れていると、要注意です。
画像診断で、腱鞘の疲労状態もみます。
手首の手のひら側をたたくと、痛みが指先にひびくティネル徴候がみられます。手首を手のひら側に最大に曲げるとしびれや痛みが増強する、手関節屈曲テストが陽性になります。
手首の掌側の手根管といわれる部位で母指、ひとさし指、中指、薬指の母指側半分までの知覚障害。
診断は主に侵された手首と手の診察によります。手根管症候群が問題を起こしていることを確認するために、神経伝導試験を行います。神経を電気で刺激してから筋肉が反応するまでの時間が長くなります。知覚テスターという機器で感覚を調べると、感覚が鈍くなっています。
手根管とは、手首の手のひら側にある靱帯(じんたい)と骨で囲まれた“トンネル”のこと。この中を、手首を動かしたり、指を曲げたりする働きがある腱(けん)と一緒に、正中神経が通っています。靱帯が炎症を起こして分厚くなり、正中神経を圧迫すると、手の指がしびれたり、痛んだり、指の動きが悪くなったりします。手作業多い職種注意です。妊娠、閉経前後にも発症、手がしびれる疾患の中で、手根管症候群は最も多い神経疾患の一つです。
手根管症候群は手首の掌側の手根管といわれる部位で母指、ひとさし指、中指、薬指の母指側半分までの知覚と母指の対立運動(母指と小指を対向させる運動)を支配する正中神経が圧迫されて生じる神経絞扼性疾患です。手根管内には指を曲げる屈筋腱が9本と正中神経が通ります。腱鞘炎を生じ、腱のボリュームが増えると、居場所のなくなった正中神経が圧迫されます。
手根管症候群(正中神経麻痺)は首の病気による神経の圧迫や、糖尿病神経障害、手指の他の腱鞘炎(けんしょうえん)との鑑別が必要です。
外来診察で見当がつきますが、知覚検査や電気生理学的検査なども行って診断を確定します。その際、この病気と似たような症状を起こすいくつかの病気、例えば頸椎疾患、胸郭出口症候群、糖尿病性神経傷害などとの鑑別が必要になることもあります。簡単な自己診断法は:
正中神経が麻痺すると母指から薬指の母指側半分の知覚麻痺、痺れおよび母指球筋(母指の根元の筋肉)の萎縮、対立運動麻痺が生じます。運動麻痺の具体的な症状は母指とひとさし指で丸を作ろうとしても涙滴形になってしまうことでご自分でも診断できます。また、筋電図で詳しく調べると神経麻痺の程度が診断できます。
女性ホルモンが影響している場合は、昼間より眠っている間にしびれることが多く、明け方にしびれが強くなります。一方キーボードの打ち過ぎによる場合は手や指を使い続けることで重症化します。
コンピューターのキーボードを使うときには、姿勢が悪いと手根管症候群になることがあります。これを予防するには、手首が自然に伸びた状態を保つことが必要です。これには、ひじから先を真っすぐに伸ばし、手が前腕よりもやや低くなるようにします。手の方が高い位置で、手首を曲げてはいけません。キーボードを比較的低い位置に置いて、手がひじよりもいくぶん下になるような状態を保ちます。リストパッドを使って手首を支えるのも良い方法です。
医学的にはまだ検証されていませんが、更年期や妊娠後期など、女性ホルモンの急激な増減期に多く発症します。今後、増加すると懸念されているのが、パソコンのキーボードの打ち過ぎなど手や指の使い過ぎによる腱鞘(しよう)炎が原因となるものです。欧米では労災として認定されるケースがあり、社会問題にもなっているという。いずれも、患者は圧倒的に女性の方が多いです。
手根管症候群(正中神経麻痺)の鍼灸治療症例:手根管症候群(正中神経麻痺)患者さん28名、取穴:合穀、後渓、内関、神門、労宮、曲池。電気針。
手根管症候群(正中神経麻痺)の鍼灸臨床経験:母指球の筋肉が完全に萎縮すると、回復するのに1年以上かかったり、回復しないケースもあります。早めの治療が必要です。手根管症候群(正中神経麻痺)の保存療法として、鍼灸治療がかなり有効です。
鍼灸治療によって、局部の血管が拡張し、十分に血液が供給される状態で、増加した免疫細胞が筋付着部や靱帯の炎症、腫れを消去すると考えられます。
手根管症候群(正中神経麻痺)患者さん28名、完治したのは20名でした。