子宮内膜症
子宮内膜症とは子宮内膜が子宮外で増殖し、いろんな症状を引き起こす疾患です。子宮内膜症は本来、子宮腔内面にある子宮内膜が子宮以外の場所にも増殖したもので、場所によって子宮腺筋症(内性子宮内膜症)と外性子宮内膜症があります。
子宮内膜は女性ホルモンの働きで増殖し、やがて子宮内膜症になる進行性病気で、月経のある女性に見られます。
子宮内膜症の場合、子宮内膜上皮細胞や間質細胞が正常な筋組織や結合組織の間に浸潤します。細胞は子宮内膜と同様の構造を持ち、ホルモンの周期にあわせて内膜の増殖や剥離が起こり、月経時には出血もします。なお、増殖のみが起こり出血しないものもあります。このとき出血した血液は組織間に貯留し、血腫を形成してブルーベリー・スポットと呼ばれる嚢胞を生じます。卵巣などではチョコレート嚢胞と呼ばれる強い癒着を引き起こす嚢胞が発生します。月経困難症はこれによるものです。
また、出血で周囲組織に血液が浸潤した結果、組織が線維化して癒着、硬結を引き起こします。その結果、凍結骨盤と呼ばれる骨盤内膿瘍が癒着のために一塊となる状態にもなります。
子宮内膜症は近年増加しつつある病気で、がんのような悪性疾患ではありませんが、若い女性の生活の質を脅かす疾患といえます。
北京中医針灸院の子宮内膜症の治療目的は、子宮内膜症患者にできるかぎりの回復の機会を提供することと子宮内膜症の完全な回復までの時間を短縮することです。
難治である子宮内膜症に対して、当院では二十年前から子宮内膜症の針灸治療を取り組んできました。北京中医康針灸院がさまざま試行錯誤の末、特殊な鍼・お灸と低周波の併用治療を考え出しました。特殊な鍼・お灸と低周波の併用治療の臨床応用で、1998年11月1日より2008年11月1日までの10年間に来院された子宮内膜症患者770名の中で、完治したのは530名で、症状が改善されたのは110名でした。
子宮内膜症の治療で、最も興味のある点は子宮内膜症に対する針灸治療は不妊症にも効果があることです。子宮内膜症患者770名、完治した530名の中で、90名の不妊症患者さんも妊娠できました。
子宮内膜症患者770名の中、もっとも改善されやすい症状は:
子宮内膜症の原因はいろいろありますが、現在、考えられるのは:
子宮腺筋症は子宮内膜組織が子宮筋層の内部にある場合です。子宮内膜組織が卵巣から出るホルモンの影響で筋層内に月経のときの子宮内膜と同じように増殖、出血して月経困難症の原因になります。
子宮腺筋症の子宮は肥大し、強い月経痛と過多月経があり、30代ごろより始まってしだいに症状が強くなります。
子宮内膜組織が卵管、卵巣、子宮後壁などに発生したもので、月経血が逆流してできるという説があります。月経のたびに出血とかたい腫瘤を形成しながら進行し、不妊症の原因にもなります。
卵巣に病変を有する子宮内膜症のことで、嚢胞の内容物がチョコレート様を呈することから命名されました。ほかに腹膜病変やダグラス窩(子宮後壁から直腸前壁にかけての部分)にも病変のあることが多いです。
子宮内膜あるいはそれと類似の組織が子宮以外の場所にできて、卵巣からのホルモンの影響を受けてさまざまな疼痛の原因となります。
子宮内膜症の場合、月経痛と月経困難症が主要な症状です。初経時には痛みがなく、年月の経過によって徐々に増悪していきます(後天性月経困難症)。その他、腰痛、下腹痛、仙骨部への放散痛があります。
子宮内膜症の検査は次のような方法があります。
| 1) 問診 | 4) MRI |
| 2) 内診 | 5) 血液検査(CA125というマーカー) |
| 3) 超音波 | 6) 腹腔鏡 |
子宮内膜症の検査は1〜6の全てを動員しないと診断がつかないわけではありません。通常1の問診で子宮内膜症の疑いがあると判断した場合、内診にて子宮の後方(ダグラス窩)にしこり(硬結)がないかどうか、あるいは圧痛があるかどうか、あるいは卵巣がはれていないか(腫大)どうかわかります。ある程度進んだ子宮内膜症ではこの内診でほぼ診断がつきます。内診の時間は1〜2分間で特別な苦痛を伴うものではありません。
また,3の超音波は子宮内膜症が卵巣の内にでき、チョコレートのう腫とよばれるように血液がたまった状態を診断するのに効果的です。また4のMRIという断層撮影も同様です。
5の血液検査は補助的な方法ですが,血液中のCA-125という腫瘍マーカーが子宮内膜症では高くなることがあり、このCA-125が高値であれば子宮内膜症がある程度進んだ状態と考えられます。しかし、これが正常値であるからといって子宮内膜症を否定することはできません。
また子宮内膜症の殆どは診断法1〜5で診断が確定できます。ですから生理痛を訴えて受診したら子宮内膜症が疑われたので、いきなり腹腔鏡をしましょうということはまずありません。
子宮内膜症の診断は問診や内診、超音波診断装置やMRIなどの画像診断によります。腹膜の病変は腹腔鏡によってのみ診断が可能ですが、卵巣チョコレート嚢胞は経膣超音波診断やMRIなどでも可能です。下腹痛に鎮痛剤が効かない若い女性に腹腔鏡検査を行うと、半数以上に子宮内膜症が認められます。
子宮内膜症の西洋医学的な治療は待機療法、薬物療法、外科療法の3種の治療法に分けます。
近年、晩婚化、初産年齢の高齢化、出産回数の減少等に伴い、排卵を伴う月経が継続する期間が昔に比べて延びています。腹腔内への月経血の逆流回数が増加しているのです。その結果、子宮内膜症および卵巣の明細胞腺ガン、類内膜腺ガンの発生頻度が急増しています。低用量ピルの服用、複数の出産は子宮内膜症、卵巣ガンの予防上有効です。欧米では18〜40 代の女性の大半が低用量ピルを服用しています。日本では1999年に認可された後もピルに対する誤解があり、まったく普及していません。今後、出産頻度が増える傾向がないため、ピルの普及を急がないと、子宮内膜症、卵巣ガンは今後も増加の一途をたどることになります。
膈下逐瘀湯[処方]當歸9、桃仁6、甘草3、紅花3、川芎6、牡丹皮6、赤芍6、烏藥9、五靈脂9、香附9、枳殼6、延胡索6
少腹逐瘀湯[処方]當歸9、蒲黃6、赤芍6、五靈脂9、川芎6、肉桂6、沒藥6、延胡索9、乾薑3、小茴香6
十全大補湯[処方]黄耆5.0、桂皮3.0、熟地黄3.0 芍薬3.0、川きゅう3.0、蒼朮3.0 当帰3.0、人参3.0、茯苓3.0 甘草1.5
左帰丸[処方]熟地18 山薬15 枸杞子15 山萸肉12 川牛膝9 菟絲子12 鹿角膠12 亀板膠12