パーキンソン病
パーキンソン病は黒質神経細胞の変性を主体とする進行性変性疾患です。パーキンソン病は、脳が出す運動の指令がうまく伝わらず、スムーズに動けなくなる状態です。パーキンソン病の症状として振戦、筋固縮、無動、寡動、姿勢・歩行障害が特徴です。パーキンソン病神経細胞変性の原因は現在までのところ確定されていないが、外因と素因の交互作用による多因子性の疾患と考えられます。
パーキンソン病の発生するところは黒質です。大脳と脊髄をつなぐ中脳には左右に2つ、肉眼で黒く見える部分があります。これは黒質です。黒質ではドパミンという物質がつくられ、大脳の線条体に運ばれます。線条体はドパミンによって刺激され、からだの運動を円滑におこなうことができるようになります。脳が、たとえば腕をもち上げるために筋肉を動かす信号を発したとき、この電気信号は脳の奥深くの大脳基底核を通ります。基底核は筋肉のスムーズな動きと姿勢の調整を行っています。他の神経細胞と同様に、基底核の神経細胞群も化学伝達物質(神経伝達物質)を放出して、隣の神経細胞を刺激することにより信号を伝達します。基底核の主要な神経伝達物質はドパミンです。ドパミンの全体的効果は、筋肉に送られる信号を増幅することです。パーキンソン病では、基底核の黒質と呼ばれる部位の神経細胞が変性するために、ドパミンの産生量が減り、神経細胞間の接続が減少します。その結果、正常なときのように筋肉をスムーズに動かせなくなり、振戦、協調運動障害が起こり、動作が小さく遅くなります(運動緩慢)。
ーキンソン病患者の黒質に影響する物質がいろいろあります。一酸化炭素、MPTPなどです。一酸化炭素中毒から回復したあとに、手足のふるえやぎこちなさなどのパーキンソン症状が始まることは珍しくありません。エコノモ脳炎は1910年前後に世界的に流行した脳炎です。この病気にかかるとあたかもこんこんと寝たようになるので、嗜眠性脳炎とも呼ばれました。脳炎から回復し、意識が戻ってホッとしたのもつかの間、手足のふるえ、こわばり、歩行障害などがあらわれます。MPTPなど合成された麻薬を使った途端にパーキンソン病の症状が現れます。
| Ⅰ | (1)度 | パーキンソン症状が片方の手足のみ |
| Ⅱ | (2)度 | パーキンソン症状が両方の手足にみられる |
| Ⅲ | (3)度 | 姿勢反射や歩行の障害(小刻みな歩行、ゆっくりとした動作)が加わる |
| Ⅳ | (4)度 | 起立、歩行は可能だが非常に不安定、介助が必要となる |
| Ⅴ | (5)度 | 車椅子使用か、ほとんど寝たきり |
パーキンソン病の患者は40歳以上ではおよそ250人に1人、65歳以上ではおよそ100人に1人にみられます。50〜79歳で発症することが多く、白人では黒人の2倍も多くなります。
初発症状は、ふるえ、歩行障害、手足のこわばりなどが多い。一般に、一側の上肢又は下肢から発症し、病気の進行とともに他側に及ぶ。症状の左右差は、症状が進行してからも続くことが多いです。
パーキンソン病は、まず、パーキンソン症状(パーキンソニズム)をおこす他の疾患(パーキンソン症候群)を除外しなければならないです。パーキンソン病は、特別の画像(CT,MRI)や検査で診断できませんので、パーキンソン病の臨床症状とパーキンソン症候群の除外により診断を確定します。
パーキンソン病の診断は症状に基づいて行われます。特に高齢者では、年をとるとパーキンソン病と同じ症状がいくつか現れるために、パーキンソン病と診断がより困難になります。そのような症状には、平衡感覚の喪失、緩慢な動作、筋肉のこわばり、前かがみの姿勢などがあります。パーキンソン病診断を直接的に確定できる検査や画像診断はありません。しかし、パーキンソン病症状の原因となりうる構造的疾患を探すために、CT検査やMRI検査が行われます。脳梗塞や他の変性症の診断にはMRIは、とても有効な診断法となります。発症年齢、初発症状、(4〜7Hzの安静時振戦)、前期臨床症状4大症候を認めれば、確実できます。パーキンソン病の治療に使う薬で症状が改善すれば、パーキンソン病であるとほぼ診断されます。パーキンソン病の場合、CT正常例が多く、線状体黒質変性症、Shy-Drager症候群の場合、CTでは、橋および小脳萎縮が見られます。Huntington病、良性遺伝性舞踊病、choreaacanthocytosis のCTでは尾状核萎縮で、ジストニアを主とする疾患の場合、CT正常例が多いです。
パーキンソン病は、黒質の働きがなんらかの原因で悪くなる病気です。パーキンソン病を解剖すると、黒質に強い障害が見つかりました。パーキンソニズムは、原因が分かっており、それによってパーキンソン病の症状が起きるので、本当のパーキンソン病とは区別をしています。
パーキンソン症候群は、さまざまな原因で起こります。インフルエンザ感染後に起こるウイルス脳炎の合併症の場合もあります。パーキンソン症候群は、その他の変性疾患や薬、またはドパミンなど神経伝達物質の作用を阻害したり、遮断する毒物によっても起こります。たとえば、パラノイアや統合失調症の治療に使用される抗精神病薬は、ドパミンの作用を遮断します。MPTPという物質を使用すると、若い人でも回復不能な重度のパーキンソン症候群が急激に起こります。その他の原因には、脳腫瘍や脳卒中などの脳の構造的障害や頭部外傷、特にボクシングで繰り返し受ける外傷などがあります。
皮質基底核変性症は、まれなパーキンソン症候群の原因です。この病気は基底核と大脳皮質の脳組織が変性した結果です。皮質に異常が起こることでパーキンソン症候群の他のタイプと区別されます。この皮質の病変は、会話や文字による表現や理解ができない(失語症)、単純な作業を遂行できない(失行症)、ものの役割や機能が認識できない(失認症)などの障害を引き起こします。症状は60歳を過ぎてから現れ、発症の約5年後には動けなくなり、10年後には死亡します。
パーキンソン病ではなにが原因となっているのかは実はまだわかっていません。少数は遺伝的に発病します。しかしながら大多数のパーキンソン病患者は遺伝とは関係なく、なんらかの原因で黒質の神経細胞が攻撃を受けるためだろうと考えられています。
パーキンソン病は知らないうちに始まり、徐々に進行します。多くの人の初期症状は、手を動かしていないときに起こる、粗くリズミカルな振戦です。振戦は手を意図的に動かしているときにはあまり起こらず、睡眠中はまったく起こりません。感情的なストレスや疲労は振戦を増加させます。最終的には、もう一方の手、腕、脚にも起こるようになります。振戦はあご、舌、額、まぶたにも起こります。病気が進行するにしたがって、ふるえはそれほど目立たなくなります。パーキンソン病のおよそ3分の1の人は、初期症状が振戦ではありません。中には振戦が一度も起こらない患者もいます。その他の初期症状には、嗅覚の減弱、体を動かさなくなる傾向、歩行困難、まばたきの回数が減って顔が無表情になる、などがあります。
嗅覚が低下したようにみえるのは、一部はパーキンソン病のために、意識的に大量の空気を吸いこんでにおいをかぐ動作ができないためです。また、嗅覚をつかさどる領域の脳神経細胞の変性も一因のようです。嗅覚の衰えは小さな問題のように思えますが、筋肉の硬直は動作を阻害します。だれかにひじを曲げたり真っすぐに伸ばしてもらうと、歯止めがかかっているようなこわばった動き方をします。動きが緩慢になって動作がスムーズに開始できず、動く範囲も狭くなっていきます。硬直と可動性の低下は筋肉痛と疲労を起こします。また、手の小さな筋肉が障害されるためにシャツのボタンをかけたり、靴ひもを結ぶなどの日常の動作が次第に困難になっていきます。パーキンソン病の人の書く文字が小さくてふるえている(小字症)のは、ペンを1画ごとに別の位置に動かして書き続けることが難しいためです。
パーキンソン病患者の歩行困難では、特に最初の一歩が踏み出せなくなります。歩き出しても、足を引きずるように小刻みに、腕を振らずに歩きます。中には歩行中に止まったり向きを変えることができなくなる人もいます。病状が進むと、突然に足が地面にくっついてしまったように感じて止まってしまったり、転倒を避けようとして無意識に早足になって小走りになったりします。姿勢が前かがみになり、平衡感覚を保てなくなります。動作が緩慢になるため、転びそうになってもさっと手を突くことができません。
顔の筋肉を動かせないために、表情が乏しくなり、うつ病と間違われたり、逆にうつ病なのに見過ごされたりします。うつ病はパーキンソン病患者に多くみられる病気です。最終的には、口を開けたまま無表情になり、まばたきの回数も減ります。顔とのどの筋肉が硬直すると、嚥下(えんげ)が困難になり、よだれをたらしたり、のどを詰まらせたりするようになります。その結果、栄養不良や脱水状態を招きます。パーキンソン病の人の話し方は単調な小声で、言葉を1語1語明瞭に発音できないためにどもったりします。
便秘も起こります。知能が正常に保たれる人もいますが、患者の約半数は痴呆を起こします。安静時振戦、固縮、無動、姿勢反応障害のうち二つあれば、パーキンソニズムと診断します。
パーキンソン病鍼灸治療症例 :患者1000名、男性553名、女性447名、年令39〜74才。パーキンソン病にかかる期間は8ヶ月〜18年。L‐ドーパ、ドパミンアゴニスト、ドプス、抗アセチルコリン薬、アマンタジンなどを一年以上服用しても、効果ない患者。治療方法:頭皮電気透穴針療法。
パーキンソン病鍼灸治療臨床経験 :頭皮電気透穴針療法。取穴:百会、前頂、承霊、懸顱、後頂、太陽、風池、人中、神庭、印堂、大椎。百会、前頂、後頂を一本の針で、神庭、印堂を一本の針でツボを貫通し、オームパルサーで、小程度の電流を流します、約1時間。
私と米カリフォル二ア大学のペッキ教授との研究チームが臨床試験で、頭皮電気透穴針+電気治療を使って、100名のパーキンソン病の患者に治療をしました。研究の結果は、神経の電気信号が、針から微弱電流に強いられ、「確率共鳴」という現象が起き、低下していたパーキンソン患者の脳の情報処理機能を改善しました。
また、針からの微電流の刺激が生物電信号に変わり、神経の伝達を通じて、脳にある黒質を刺激し、ドーパミンの分泌を促進し、パーキンソン病患者のドーパミンの分泌量を数倍に増やしました。
針治療によって、大脳大動脈、大脳中動脈、大脳後動脈の血液量が5倍以上に増加したことも確認できました。つまり、パーキンソン病患者の減少していた大脳大動脈、大脳中動脈、大脳後動脈の血液量を改善し、脳細胞の代謝機能を増強しました。
カリフォル二ア大学の放射線医学専門の趙長煕教授がfMRI(機能的磁気共鳴映像法)を使って、さらに脳の内部の変化を観察しました。電気刺激をする時に、脳の運動エリア、感覚エリアと黒質の働きが活発になっています。
頭皮電気透穴針療法を受けたパーキンソン病1000例、有効は910名でした。