卵巣嚢腫
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卵巣嚢腫は、卵巣の中に液体状のものがたまっている腫瘍で、良性のものが多く、卵巣腫瘍の大部分がこのタイプです。卵巣は人体の中で、もっとも腫瘍ができやすい臓器です。卵巣にできる腫瘤[しゅりゅう](こぶ)はその硬さから、柔らかい腫瘤と硬い腫瘤に分けられます。ここでいう、硬いとか柔らかいという意味は、内診で触れた感触のことです。この柔らかい腫瘤を卵巣嚢腫と呼びますが、一般的に悪性のものではありません。それにひきかえ、硬い腫瘤は7〜8割悪性のものです。つまり卵巣がんです。したがって、卵巣にできる腫瘤は柔らかいか硬いかが、診断の参考になります。
卵巣にできる腫瘍は、卵巣嚢腫(のうしゅ)と充実性腫瘍の大きく2つに分けることができます。卵巣嚢腫、充実性腫瘍ともに、良性、悪性、その間の中間群があります。卵巣がんが50代の高年に多いのに対して、卵巣嚢腫は30代の若い人に多くみられます。
卵巣は、妊娠、受精に必要な卵胞をかかえている臓器で、女性ホルモンを産生しています。そのため、腫瘍が出来やすい臓器でもあります。嚢腫は、中に水のようなものがたまって、ぶよぶよしています。ほとんどの場合良性ですが、中には悪性のものや、悪性に変化するものがあるので注意が必要です。
卵巣そのものは親指の頭くらいですが、腫瘍ができると徐々に大きくなり、時には数キログラムにもなります。小さいうちは、ほとんど症状がありません。握りこぶしくらいになると、痛みや、腹部膨満感など自覚症状がでてきます。また、何らかの原因で卵巣が根元からねじれると、激しい痛みがおこります。このねじれで、血流がストップして、緊急手術が必要となる場合もあります。卵巣嚢腫は幅広い年齢層にみられます。腫瘤はどのようなものでも、病理学的な診断が最終的には必要で、単に柔らかいとか硬いといった触覚だけからその悪性度を判定することではなく、卵巣にこぶが見つかったとき、内診だけからその悪性良性の判定はできません。
一時的に排卵日頃に腫大し、次の月経の頃には小さくなります。消失が遅れる場合も1〜3カ月以内には消えてなくなります。 排卵日頃には卵胞という卵子を入れる袋が大きくなり、卵胞が破裂して卵子が飛び出すことによって排卵が起こります。まれに、卵胞が大きくなっても卵子が飛び出ずに排卵が起こらないことがあります。大きくなった卵胞がしばらく残っている状態が機能性卵巣嚢腫です。一見しただけでは機能性嚢腫と単純性嚢腫との区別はつきませんが、機能性嚢腫なら普通は次の月経の頃には小さくなります。
このタイプの嚢腫は手術をせずに経過観察をすることが最も多い腫瘍です。若い女性に非常によく見られる良性の卵巣腫瘍です。丸い袋のように見える腫瘍で、内部には隔壁や腫瘍の固まりが全くなく水だけです。嚢腫の袋が一つの場合と、複数の袋からなる嚢腫とに分かれ、複数の場合、後に悪性に変化することもあります。単純性嚢腫のように見えても非常にまれに悪性部分が隠れている場合があるので定期的な検査は必ず必要です。
内部に油、毛髪、骨、歯などができる腫瘍です。これも良性の腫瘍です。小さいものなら無症状ですが大きくなると下腹部痛や不快感などが生じます。普通は次第に大きくなるので経過観察をしたとしても最終的に手術が必要になることが多い腫瘍です。癌ではないのですが左右の卵巣に出来たり、再発することがよくあります。若い女性にはめったにありませんが、皮様嚢腫の一部が癌化するということもあるので手術しない場合でも定期的な検診は必ず必要です。
子宮内膜症が卵巣に発生したものをチョコレート嚢腫と言います。子宮内膜症が原因で卵巣にできる嚢腫です。本来子宮の内膜の組織であるはずのものが、何らかの原因で卵巣に飛び散り、そこで月経と同じ周期で内膜が増殖していきます。増殖するだけでなく出血も伴います。これが子宮の内部で起きていれば、生理として体外に排出されるのですが、卵巣に発生した出血は排出されるところがないので、しだいに卵巣内にたまっていくのです。そして月経の度に起こる出血がたまっていくと嚢腫ができます。片方、または両側の卵巣に様々な大きさになります。嚢腫の中には古い濃縮されて黒褐色の血液がたまっていて、それがあたかもチューブ入りのチョコレートそっくりなので「チョコレート嚢腫」と呼ばれています。この血液はたまっていくと、周囲の組織と癒着を起こします。現在、最も有効な治療法としては外科的に嚢腫を取り除くことです。大きくなった嚢腫によって下腹痛、特に性交時の下腹痛や月経時の下腹痛が起こります。以前に比べ、20代の女性に子宮内膜症が多くなっています。
卵巣嚢腫、充実性腫瘍ともに腫瘍が小さいうちはまったく自覚症状が出ないのが、特徴です。自覚症状があらわれるのは、腫瘍の大きさがにぎりこぶし大ほどになったころからです。腫瘍がほかの臓器を圧迫するので、腹部の膨満感や腰痛などが起こります。さらに進行していくと、便秘になったり頻尿になったりします。また、腹部にしこりを感じたり、体重が増えたわけでもないのにおなかだけがぽっこりとふくらむことも。不正出血や水っぽいおりものの量が増えるなどの症状が出ることもあります。
腫瘍がおなかの中でぐるりと回転してしまうことがあります。卵管や靭帯がねじれ、激しい吐き気、嘔吐を伴う腹痛が起こり、時には意識不明に陥ることも。早急に手術を受ける必要があります。
なお、かたいコブ状の腫瘍が特徴の充実性腫瘍の場合、こぶし大の大きさになると、おなかに触るとしこりを感じることがあります。月経時以外の不正出血や月経痛のような痛み、腰痛などの自覚症状もあらわれます。
婦人科専用の経膣超音波法で観察します。卵巣の場合、排卵期(月経開始から2週目頃)では卵胞という直径2cmほどの卵胞という直径2cmほどの影が認められます。これは正常ですのでご心配ありません。内部が不鮮明なもの、大きさが5cmを超えるものは卵巣腫瘍の疑いがあります。
子宮内膜症の場合、卵巣に発症するもの(卵巣チョコレート嚢腫)や子宮にできる子宮腺筋症などでは診断可能ですが、骨盤内腹膜表面にできる癒着などは診断するのは困難です。あまりにも月経痛がひどい場合、診断、場合によっては治療もかねて腹腔鏡検査を行います。最近は超音波検査、CT検査、MRI(磁気共鳴画像法)などから、手術で腫瘤を摘出する前にある程度良性か悪性の見当がつくようになりました。良性のものでも、腫瘤の茎[けい](軸)が捻転[ねんてん](ねじれる)を起こすことがあります。徐々に捻転が起きたときはそれほどではありませんが、突発的に茎捻転が起きたときは、子宮外妊娠とまちがえられるほどの激しい痛みを伴います。
各種の血液中の腫瘍マーカーの検査ががんの診断に使われていますが、早期診断にはあまり役立ちません。
卵巣嚢腫鍼灸治療症例 : 卵巣嚢腫患者さん33名、取穴:子宮、京門、中脘、中極、気海、関元、腎兪、次髎、足三里、三陰交、太沖、内関、合穀。電気針。天枢に間接灸9壮。
卵巣嚢腫鍼灸治療臨床経験: 卵巣嚢腫は良性の腫瘍で、それほど大きくない場合は、鍼灸治療しますが、腫瘍が7cmくらいになると、手術をするのが一般的です。鍼灸治療で、卵巣嚢腫が小さくなります。
卵巣嚢腫患者さん33名、嚢腫が4cm以上小さくなったのは18名でした。