筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮側索硬化症は主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性消失していく原因不明の疾患である。症状は、筋萎縮と筋力低下が主体で、病期が進行すると上肢の機能障害、歩行障害、構音障害、嚥下障害、呼吸障害などが生ずる。一般に感覚障害や排尿障害、眼球運動障害はみられないが、人工呼吸器による長期生存例などでは、認められることもある。病勢の進展は比発病率は人口10万人当たり0.4〜1.9で、年齢とともに増大して50〜60歳代でピークに達し、以降再び低下する。有病率は人口10万人当たり2〜7人で、本邦では紀伊半島に多発地域がある。男女比は約2:1で男性に多い。発病危険因子として地下水の金属イオン濃度や植物種子の摂取、外傷などとの関連があげられているが、確実な根拠となるものは見出されていない。比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2〜4年で死亡する。
家族性筋萎縮側索硬化症(FALS)では、筋萎縮側索硬化症(ALS)全体の5〜10%を占める。FALSの約2割では、フリーラディカルを処理するSOD1 (superoxide dismutase 1) 遺伝子の変異が報告されている。また、アラブ諸国に見られ、25歳以前に発病し、緩徐進行性である稀な FALS2 の原因遺伝子として guanine-nucleotide exchange factor である alsin が知られている。弧発性についても、幾つかの遺伝因子の報告はなされているが、いずれも極めて稀であり、多くの場合の原因は不明である。運動ニューロン死の機序としては、興奮性アミノ酸説、フリーラディカル説、ウイルス感染説などが提唱されている。
筋萎縮側索硬化症は基本的には一次運動ニューロン障害の症候として、痙縮、腱反射亢進、病的反射の出現がみられ、二次運動ニューロン障害の症候として、筋力低下、筋萎縮、線維束性収縮が認められる。発語、嚥下に関与する筋を支配する運動ニューロンが障害されると、構音障害、嚥下障害をきたし、呼吸筋を支配する運動ニューロンが障害されると呼吸障害を起こす。ALSでは、最終的には進行して、上位と下位の運動ニューロンが共に障害されるが、病初期には下位運動ニューロン障害、もしくは上位運動ニューロン障害のみが前景となることがある。また、比較的長期間にわたり、いずれかの特定のニューロンの障害のみが持続する症例も存在する。
ALSは発症様式により、(1)上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す上肢型(普通型)、(2)言語障害、嚥下障害など球症状が主体となる球型(進行性球麻痺)、(3)下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る下肢型(偽多発神経炎型)、の3型に分けられることがある。これ以外にも呼吸筋麻痺が初期から前景となる例や、体幹筋障害が主体となる例などもあり多様性がみられる。
筋萎縮側索硬化症鍼灸治療症例 :筋萎縮側索硬化症患者99名、年令最少20才、最大62才。中医学では、筋萎縮側索硬化症を「萎症」(イショウ)と謂う。取穴:百会、前頂、懸顱、後頂に頭皮針。他の取穴:大椎、肩髃(ケング)、曲池、手三里、合穀、魚際、太淵、足三里、伏兎、風市、環跳、陽陵泉、絶骨。電気針、20分間後、吸い玉20分間。
筋萎縮側索硬化症鍼灸治療臨床経験 :筋萎縮側索硬化症に大椎穴を深く刺し、手足に痺れ感が出たら、すぐ針を抜きます。
筋萎縮側索硬化症患者の運動ニューロンの変性を押さえ、筋萎縮と筋力低下を回復します。
電気針で大脳大動脈、大脳中動脈、大脳小動脈の血流量が5倍に増え、脳細胞の代謝が促進されます。しかも、脳の黒質が刺激され、ドーパミンの分泌量が増えます。趙長熙教授(放射線医学・米カリフォリニア大学)のfMRI(機能的磁気共鳴映像法)によって、同治療を施すと大脳皮質の運動、感覚エリアや黒質が効果的に刺激され、働きが活発することが分かりました。
筋萎縮側索硬化症99名の中、上肢の機能障害、歩行障害、構音障害、嚥下障害の症状が消失したのは33名、上肢の機能障害、歩行障害症状が改善したのは29名、効果なかったのは37名でした。