側頭動脈炎
側頭動脈炎とは、頭皮の横を通っている側頭動脈に起こる慢性の炎症のことです。
側頭動脈炎は主に60歳以上の高齢者に発症する頸動脈とその分枝の動脈、特に側頭動脈の炎症を主徴とする原因不明の血管炎です。側頭動脈炎は、リウマチ関連疾患の1つで、巨細胞性動脈炎(GCA)とも呼ばれます。側頭動脈炎は高齢者の頭痛の原因として重要な疾患ですが、日本人では白人ほど多くありません。側頭動脈炎は側頭部の皮下を走っている浅側頭動脈に起こる血管の炎症(血管炎)で、50歳以上で発症し、60〜70代をピークに高齢者に見られます。頭の側面に存在する側頭動脈が、血管炎により、痛みを伴い、肥厚、発赤することから側頭動脈炎と呼ばれるようになりました。動脈の生検による組織学的検査では巨細胞を含む肉芽腫が認められるため、巨細胞性動脈炎とも呼ばれます。リウマチ性多発筋痛症の症状が約30%の患者さんに側頭動脈炎が認められ、両者はきわめて近似した疾患と考えられています。
側頭動脈炎は、50歳以上の約1000人に1人の割合で発症する病気で、男性よりもわずかに女性に多く発症します。側頭動脈炎の受療率は人口10万人対0.65名です。男女比はほぼ1:1.7でやや女性が多く、側頭動脈炎の発症年齢は平均71.5歳です。男女ともに60歳後半から70歳代にピークがあります。
」側頭動脈炎の初発症状としては、側頭動脈痛、限局性の頭痛、頭皮部の疼痛、側頭動脈の拍動性の頭痛などが約70%の患者さんに認められます。頭痛は、拍動性で、片側性で、夜間に悪化しやすいです。側頭動脈炎の場合、有痛性または肥厚性の側頭動脈を触れます。発熱、体重減少などの全身症状は約40%の側頭動脈炎患者さんに認めます。眼症状(視力・視野障害、虚血性視神経炎など)は約34%の側頭動脈炎患者さんに認め、筋肉痛と関節痛はそれぞれ20%、13%ぐらいの側頭動脈炎患者さんに認められます。
側頭動脈炎の原因は不明です。側頭動脈炎がある人には、リウマチ性多発筋痛の症状も多く認められます。側頭動脈炎は遺伝病ではありません。側頭動脈炎の前駆症状としてウイルス感染症などが報告され、感染が誘因として報告されていますが、明らかではありません。遺伝的素因として、HLA-DR4との相関が報告されていますが、明らかではありません。
側頭動脈炎の症状は多様で、障害を受けた動脈によって異なります。典型的な側頭動脈炎の症状としては、頭部にある太い動脈が侵され、両方のこめかみや後頭部に突然激しい頭痛が起こります。こめかみを通る動脈はさわると腫れて硬く感じることもあります。髪をとかしたとき、頭皮に痛みが生じることもあります。複視、かすみ眼、視野の欠損、片目の視力喪失といった眼の症状が認められます。中でも、最も重大な症状は永久的な失明で、これは視神経への血液の供給が途絶えたことが原因となって、突然起こります。片側または両側の側頭部に、拍動性の強い痛みを自覚するようになり、場合によっては、ものを噛む時に、ものを噛んだり咀嚼したりする筋肉に痛みを伴います。典型的な場合には、側頭部に発赤を認め、索状になった肥厚した浅側頭動脈が触れます。
側頭動脈炎は、頭痛ばかりではなく、約4〜5割の患者さんで視力障害が認められ、約1割の患者さんで失明することがあります。眼動脈にも炎症が生じ、視神経や網膜の血流障害が起こるからです。また、リウマチ性多発筋痛症に類似した全身の筋肉痛を伴うこともあります
側頭動脈炎の特徴的な症状は、ものを食べたり話をするときにあごの関節、かむときに動かす筋肉、舌が痛みます。このほか、リウマチ性多発筋痛の症状である首、肩、股関節部の筋肉痛がみられます。
側頭動脈炎の臨床症状は、頭痛が約20%、眼症状が約48%、発熱など全身症状が約55%、関節・筋症状が約45%などを認めます。眼症状を有する側頭動脈炎症例は、リウマチ性多発筋痛症の合併、体重減少、筋肉痛などの全身症状が少ない傾向があります。リウマチ性多発筋痛症が側頭動脈炎の約30%認められ、四肢近位筋の疼痛を示します。大動脈にも障害がおこることがあり、このため、間欠性跛行、解離性大動脈瘤などをみることがあります。このほか、うつ病、不安感、記銘力低下、脳梗塞、聴力障害などをみることがあります。
アメリカ・リウマチ学会(ACR)1990年の診断基準:
以上の5項目のうち3項目を満足した場合を側頭動脈炎と診断する。
厚生省の「悪性関節リウマチ,結節性動脈周囲炎調査研究班」の側頭動脈炎の診断基準:
側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)とは、病気で障害された血管に、巨細胞という特徴ある細胞が見られることからこの名前が付けられました。血管を取り出して、顕微鏡で検査し、そこに巨細胞が見つかればこの病気の診断は確定します。多くが、側頭動脈に病変があるため側頭動脈炎とも呼ばれます。側頭動脈炎の半数がリウマチ性多発筋痛症の患者さんに起ることから、側頭動脈炎とリウマチ性多発筋痛症は密接に関連していると考えられます。
リウマチ性多発筋痛症は、他に原因のない肩、腰周囲の筋肉痛を起こす病気で、血液で高度の炎症反応を認めるのが特徴です。リウマチ性多発筋痛症の発症は一般に50歳以上、とくに60歳以上で、症状は、急に始まることが多いのですが、治療しないとそのまま続くため、数カ月にわたって徐々に進んだようにみえることもあります。
リウマチ性多発筋痛症は、リウマチという名前が使われていの高齢者に起こる原因不明の病気で、体幹に近い部分の筋肉の痛みやこわばりが主な症状の慢性炎症性の疾患です。真の原因はわかっていませんが、20%前後の患者さんには側頭動脈炎という膠原病を合併することが知られています。しかし、欧米に比べて日本では、側頭動脈炎を合併する頻度は少ないです。リウマチ性多発筋痛症は他の膠原病疾患には共通する原因があるのかもしれません。リウマチ性多発筋痛症の症状は体幹に近い部分、すなわち肩から上腕、頸、臀部から大腿などの筋肉の痛みやこわばりから始まり、それが2週間以上続くのが特徴です。こうした筋肉の症状以外では、発熱、全身のだるさ、体重減少などの全身症状と、関節の痛みを伴います。ただし、関節がはれ上がるほどになることは少ないといわれています。
側頭動脈炎の西洋医学治療はステロイド療法を行います。これにより、視力障害までの進行が予防できます。ステロイド療法で十分に血管の炎症が抑えられない場合や、ステロイド薬の漸減に伴って血管の炎症が再燃する場合には、メトトレキサートなどの免疫抑制薬を併用することがあります。
側頭動脈炎鍼灸治療症例 :側頭動脈炎患者さん32名、取穴:太陽、頭維、外関、風池、大椎、翳明、陽白、攅竹、合穀、足三里、行間、攅竹、合穀、足三里、行間、陽陵泉、百会、四神聡、内関、太沖。
側頭動脈炎鍼灸治療臨床経験 :当院は以前から側頭動脈炎に鍼灸治療を展開してきました。経験から側頭動脈炎に対する鍼灸治療がかなり有効のことも分かりました。最も興味のある点は失明に対する鍼灸治療効果ですが、早期からの鍼灸治療により防止が可能です。視力の減退にも有効です。結果では側頭動脈炎患者さん88%に治癒・軽快が認められました。
側頭動脈炎の異常免疫を抑制すると考えられます。
側頭動脈炎患者さん32名、88%の患者さんが治癒・軽快でした。
小山さん、50才、女性、岡山県在住。2年前から激烈な頭痛、眼痛、耳痛を訴え、両目
の視力は1.2から0.1に下がり、病院で側頭動脈炎と診断され、ステロイド治療を受け、頭痛、眼痛、耳痛が無くなり、両目の視力が0.8に回復しましたが、1年後症状が再発し、視力が0.01に下がり、友人の紹介で、当院の鍼灸治療を受けました。9回目から視力が0.01から1.0に戻り、激烈な頭痛も弱くなり、28回目から側頭動脈炎の症状が無くなり、赤沈が50mm/hrから15まで下がり、視力も1.2に戻りました。「一時、失明するかと不安がありましたが、鍼灸治療で、視力も元気も取り戻しましたので、安心しました。」と喜んでいました。