卵巣機能不全
卵巣機能不全は卵巣そのものの働きが悪いか、もしくは卵巣に働きかける視床下部や下垂体の働きが悪いなど、さまざまな理由から、卵巣機能が正常に働かない状態を指します。卵巣機能不全はその原因もそれぞれ違うことから、症状も多岐にわたります。卵巣機能が早期に低下する病態で、早期卵巣機能不全(そうきらんそうふぜん)と呼ばれます。極端な場合は、早期に閉経となる場合があり、43歳未満で閉経になるものは早発閉経(そうはつへいけい)と呼ばれています。一方、このような状態で卵巣が排卵する能力を完全に失っているかというと、必ずしもすべての人がそうではありません。卵巣に卵胞(らんぽう)が存在して排卵を誘発することが可能な場合と、卵巣に卵胞が残存していない場合とに分類され、前者をゴナドトロピン抵抗性卵巣症候群、後者を早発閉経とする考え方もあります。
卵巣機能は、間脳視床下部(かんのうししょうかぶ)、脳下垂体(のうかすいたい)という性機能を司る脳の中枢によって調節されています。これらの中枢が、性周期の適切な時期に適切なホルモンを分泌することにより、卵巣における排卵やホルモン分泌が正しく行われるわけです。したがって、視床下部、下垂体の機能異常があると、黄体機能不全となることがあります。また、中枢に異常がなくても卵巣自体の異常のために卵胞から黄体への移行が不完全になることもあります。このような機能異常がなぜ起こるかについては、明確なことはわかっていません。糖尿病などの全身性の病気や喫煙などの嗜好品、精神的ストレスによって卵巣機能不全となり、黄体機能不全の症状を示すこともあります。
35〜40歳で無排卵となり、多くの場合は無月経になります。原因によっては、さらに早期に無月経になることもあります。
無月経になる前の段階として、月経周期が延長した稀発(きはつ)月経の期間があり、この段階ではすでに無排卵になっていることが多く、基礎体温は低温一相性(月経周期に高温期がなく、低温期のまま経過する)となっていることがほとんどです。
月経周期とは、ある月経の開始日から次の月経の開始日の間隔のことで、25日〜38日の周期で、かつ1周期ごとの変動が6日以内の場合が正常周期と定義されています。24日以内の周期の月経を頻発月経、39日以上の月経を稀発月経といいます。変動が大きく、どちらにもあてはまらないものを不整周期月経と呼んでいます。
ただし、これらはあくまでも名称の定義であって、それぞれの境界、および稀発月経と前項で述べた続発性無月経との境界に決定的な差があるわけではありません。また、周期の異常と排卵の有無とは必ずしも一致せず、稀発月経や不整周期月経であっても、多くの場合は妊娠することが可能です。しかし、正常周期以外の人では無排卵の可能性が比較的高く、逆に正常周期であっても、排卵のない無排卵性周期症(むはいらんせいしゅうきしょう)のこともあります。原因にはさまざまなものが考えられます。性中枢(せいちゅうすう)の周期が通常の28日前後の周期と異なるだけで、排卵もみられて自然に妊娠が成立するという人が多く、このような場合の病的意義は小さいといえます。
基礎体温を測ると、正常排卵周期では13〜14日間続く高温期が短縮しているのがわかります。ただし、診断する基準には、高温期が10日未満の時に黄体機能不全とする場合と、12日未満の時に黄体機能不全とする場合があり、確立していません。
また、高温期の体温が安定せず、高温期であるにもかかわらず一時的に体温が低下したり、低温期から高温期への移行がはっきりしないこともあります。
黄体からのプロゲステロンの分泌が低いかどうかを調べるには、黄体期での血中プロゲステロン値の測定が必要です。10ng/ml未満であれば、黄体機能不全である可能性が高くなります。
さらに、黄体期の子宮内膜の組織検査を行い、その組織所見が月経周期の日付と合致しているかどうかによって、子宮内膜がプロゲステロンの影響を適切に受けているかどうかを判断することができます。
卵巣機能が低下していることが証明されれば、早期卵巣不全の可能性が考えられます。この証明には、卵巣からの分泌ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の測定はあまり意味がなく、むしろエストロゲンのフィードバックを受ける脳下垂体からの性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の測定が役立ちます。卵巣機能の低下により、フィードバックを受けなくなった脳下垂体(のうかすいたい)からのゴナドトロピン、とくに卵胞刺激ホルモン(FSH)が大きく上昇していることが診断の入り口になります。
卵巣に卵胞が残存しているかどうかは、卵巣の組織検査によって診断が可能ですが、実用的ではありません。実際には、ゴナドトロピンの投与で卵胞の発育がみられるかどうかを判断するのが一般的です。
卵巣における卵胞の周期的な発育と排卵の過程は、さまざまな成長因子の相互作用によって成り立っています。これまで卵巣機能に関する研究は動物実験の知見に頼っていましたが、近年、ヒト卵巣表層上皮と卵巣顆粒膜細胞の不死化細胞系を確立しました。たとえば卵巣機能不全の原因には卵細胞の枯渇と卵胞発育不全の2つがあります。卵胞発育不全患者では、卵や卵胞が存在するにも関わらず発育することができななく、ステロイド産生能を有するヒト卵巣細胞を支持細胞とした卵細胞培養系を確立することによって卵胞発育不全患者の妊娠成立が期待できるかもしれないです。
卵巣機能不全鍼灸治療症例 :卵巣機能不全患者さん16名、取穴:子宮、関元、腎兪、命門、気海、胞門、子戸、足三里、百会、風池、血海、三陰交。関元にお灸併用。電気針。
卵巣機能不全鍼灸臨床経験 :卵巣機能不全の治療は多少時間がかかることもありますが、きちんと通院して、あせらず気長に治していこうという気持ちをもつことが大切です。
西洋医学ではホルモン療法で、対症療法が主な治療です。これに対し、鍼灸治療で、治った卵巣機能不全患者さんのほとんどは再発もなく、抜本的な治療法とも言えます。
視床下部や下垂体、卵巣の働きを促進すると考えられます。
卵巣機能不全患者さん16名、完治したのは9名。