リンパ浮腫
リンパ浮腫とは、リンパ液が溜まったために生じる浮腫のことです。
リンパ管が感染や炎症、外傷、放射線照射、手術によるリンパ節の摘出などで、閉塞したり、リンパの流れが遮断されたり、先天的な形成異常などのために、リンパ液の還流が障害されますとリンパ管の流れが悪くなり、リンパ管の内容物がリンパ管の外にしみ出し、むくみが現れ、リンパ浮腫を生じます。とくに重要なのが蛋白質で、蛋白質がリンパ管から漏れて組織内に蓄積されますと、組織細胞の変性と線維化が起こり、その部分の皮膚が次第に硬くなっていきます。
リンパ浮腫は静脈血栓症のようなうっ血した皮膚の変色は見られません。静脈血栓症の後遺症ではリンパ管のうっ滞も伴っていますので、変色を伴う場合もあります。
通常体内に水分は、血液またはリンパ液として存在しています。人体にはいたるところに血管が存在し、その中を血液が循環することによって組織に酸素が供給されています。血液内の水分の一部は、血管外に漏れ出て、リンパ液として、リンパ管から心臓に向かって還流します。
リンパ液は、その還流の途中でリンパ節を経由します。リンパ節は循環の中継点に相当するため、リンパ節が癌の転移を防止するために、切除されますと、リンパ流がうっ滞し、浮腫を起こします。
リンパ浮腫最初の軽症のものでは下肢の挙上や安静により腫脹はもとに戻りますが、進行すると浮腫が残り、組織間質の線維化が進んで硬くなってきます。この時期には感染を起こしやすく、リンパ管炎を起こすとリンパ管の閉塞やうっ滞はさらに高度となって浮腫が増悪する悪循環を起こします。もっとひどくなると皮膚の角化も高度となり、象皮病を呈します。沖縄本島や八重山諸島でフィラリア感染により起こるリンパ浮腫では、連鎖球菌感染を伴って象皮病になる例が見られます。
リンパ浮腫は静脈の機能不全による浮腫とは異なります。静脈の機能不全による浮腫は、静脈内の血液が逆流するために起こり、血管から漏れた体液が組織内にたまるものです。浮腫は心不全によって起こりますが、リンパ浮腫は生じません。リンパ浮腫は、何らかの異常で毛細血管によるリンパ液の再吸収が妨げられると生じます。その結果、リンパ系は組織からリンパ液を十分に排出できなくなります。
リンパ浮腫には生まれた時からの先天性リンパ浮腫と、後になって発症する後天性リンパ浮腫があります。
先天性リンパ浮腫は、リンパ管の数が少なすぎて、すべてのリンパ液を処理できないために生じます。このリンパ浮腫はほぼ脚に起こり、まれに腕にも起こることがあります。男性よりも女性にはるかに多いです。
まれに、生まれたときに腫れが明らかなことがありますが、普通は乳児ではリンパ液の量が少ないため、少ないリンパ管でも処理できます。たいていの場合、リンパ浮腫が生じるのはもっと成長してから、リンパ液の量が増えて少ないリンパ管では処理しきれなくなってからです。浮腫は片脚あるいは両脚に、徐々に始まります。リンパ浮腫の最初の徴候は足の腫れで、1日の終わりには靴がきつく感じるようになり、足の皮膚に靴の跡が残ることもあります。
リンパ浮腫でなくても、長時間立ち続けると足のむくみを経験する人は大勢います。このような人では足首までの靴下をはくとゴムの跡が残りますが、リンパ浮腫の人よりも跡が浅く、その周辺にむくみはありません。
当針灸院(鍼灸院)のリンパ浮腫の治療目的は、リンパ浮腫患者にできるかぎりの回復の機会を提供することです。
リンパ浮腫を克服のため、当針灸院(鍼灸院)は25年間、リンパ浮腫の治療に力を入れて、試行錯誤の末、独自の電気針治療法を開発しました。特殊な鍼と電気の併用でより良い成果を上げています。1990年4月から2008年10月の間、10年間に来院されたリンパ浮腫患者280名を集計したところ、160名が完治、有効率は75%でした。
当針灸院(鍼灸院)の治療はリンパ浮腫の頑固さに応じて、多岐に渡って行います。当針灸院(鍼灸院)は中医学的な弁証論治の基本を元に、特殊な電気針治療法を組み合わせることで、最大限の効果を引き出します。
最も興味のある点は針灸治療がリンパ浮腫の再発予防にも効果があることです。治ったリンパ浮腫患者さんの多くがその後再発しませんでした。
原因不明の一次性リンパ浮腫と、子宮がんや乳がんなどの術後に多く見られるリンパ管の圧迫や狭窄などが原因で起こる二次性リンパ浮腫がありますが、ほとんどが二次性リンパ浮腫です。
リンパ浮腫は若い女性に多く、最初は夕方になると足、かかと、手の甲のはれで気がつきます。痛みや色の変化はなく、翌朝になるとはれは消えます(可逆性リンパ浮腫)。そのあとは次第にむくみは消えてなくなり、皮膚も硬くなってきます(非可逆性リンパ浮腫)。 先天性リンパ浮腫の初期では、脚を高く保つと腫れは消えます。
リンパ浮腫は時間とともに悪化します。リンパ浮腫はより著しくなり、1晩休んでも完全には消えなくなります。後天性リンパ浮腫は、先天性リンパ浮腫よりも多くみられます。大きな手術の後に起こるのが典型的で、癌の治療でリンパ節やリンパ管を切除したり、放射線療法を行ったりした後、特にみられます。たとえば、癌が発生した乳房と関連するリンパ節を切除すると腕がむくみやすくなります。リンパ管が繰り返し感染を起こして瘢痕化することもリンパ浮腫の原因となりますが、このタイプの瘢痕化は熱帯地域の寄生虫であるフィラリア(フィラリア症)に感染した人を除き、きわめてまれです。
後天性リンパ浮腫では皮膚は健康にみえますが、むくみや腫れが生じます。むくんでいる部分を指で押しても、静脈の血流の異常による浮腫みほど指の跡がはっきりと残ることはありません。まれに、特にフィラリア症の人では、むくんだ手や足が極端に太くなり、皮膚が厚く硬くなって象の皮膚のようになることがあります。この病気は象皮病と呼ばれています。
リンパ浮腫の検査:
二次性リンパ浮腫の原因である手術後や悪性腫瘍の検査のためにはCTも有効です。静脈性浮腫との区別には静脈造影が有効です。また、心不全、腎不全、低蛋白、降圧薬、ホルモン薬、消炎鎮痛薬などの全身疾患のチェックも必要です。
まず、手足の浮腫を認めた場合には、その原因となる低栄養、静脈不全、心不全、肥満などと区別する必要があります。次に、リンパ浮腫が疑われた場合には、アイソトープによるリンパ管造影が最も一般的で、リンパ管での取り込み不良、不均一性、リンパ節の活性低下などからリンパ浮腫を診断します。
四肢外傷・手術などをきっかけにして手足がむくんで来る場合があります。このむくみの原因としては、1.血管が閉塞する場合と2.リンパ管と言われる細かい管が閉塞する場合があり、後者の状態をリンパ浮腫と呼んでいます。両者の区別を行うためには、血管造影または超音波検査を行うことが必要ですが、発症の仕方によっておおむね区別することが可能です。一般的に、婦人科を中心とする腹部の経験があり、手術後数年経過してから出現する浮腫は、リンパ浮腫である可能性が高いと考えられます。
リンパ浮腫の鍼灸治療症例 :リンパ浮腫患者280名、取穴:腎兪、三焦兪、曲骨、関元、三陰交、中極、内関、曲池、合穀、百会、足三里。電気針。お臍に間接灸9壮。
リンパ浮腫の鍼灸臨床経験 :当針灸院(鍼灸院)では、多くのリンパ浮腫患者の症状を回復させてきました。今も多くのリンパ浮腫患者が通っていらっしゃいます。リンパ浮腫患者の一人一人の症状に合わせて、当針灸院(鍼灸院)はきめ細かな針灸治療を行っています。針灸治療の結果、多くのリンパ浮腫患者は正常な生活を送ることができるようになりました。
リンパ浮腫を完全に治す薬はありません。利尿薬は無効なことが多く、あまり使われません。鍼灸治療では、薬より良い効果が得られますので、鍼灸治療をお勧めします。
リンパ浮腫患者280名、完治したのは160名、有効率75%。
南さん、34才、女性、静岡県在住。1年前に子宮癌の手術後、左足が右足の1.5倍の太さほどになってしまいました。さらに今年に入って、健常であった右足も浮腫みと痛みが出てきました。リンパ浮腫と診断され、特殊なストッキングを付けましたが、浮腫みはなかなか減りませんでした。新聞記事を見て、当院の鍼灸治療を受けました。
鍼灸治療開始から第6回で、左太ももの張りが取れて、触ると柔らかくなってきました。鍼灸治療第9回目から左太ももは一層柔らか味を増し、本来の組織の弾力を回復し始めました。足首より先も腫れが心持ち減ってきました。右足も浮腫が減ってきました。
鍼灸治療第18回目から左足先の浮腫みが顕著に取れてきました。膝より上の部分も一層柔らか味が出てきました。鍼灸治療29回ほどで両足の浮腫が殆ど引きまして、元の形になってきました。その後も暫く鍼灸治療を続け、むくみが完全に消えました。しかもリンパ浮腫も子宮癌も再発無く、すっかり元気になりました。南さんの粘り強さが完治に導いたと今も思います。