腸脛靭帯炎
腸脛靭帯炎とは、ランニングなどによって、膝関節に衝撃が加わって、屈伸や捻りなどの動作により、大腿骨外顆という骨の隆起に腸脛靭帯がこすられ、摩擦性の炎症が起こっていることによって、痛みが生じる状態です。
腸脛靱帯炎はランニングによる膝障害の代表です。膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触(こすれる)して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生します。特にマラソンなどの長距離ランナーに腸脛靭帯炎が好発します。ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等も腸脛靭帯炎を引き起こします。腸脛靭帯炎はランニングによって起こる疾患の1つで、長距離ランナーに多発する事より「ランナー膝」とも呼ばれています。
腸脛靭帯は身体の中で一番長い靭帯です。骨盤の「腸骨稜」と膝外側の「ひ骨の外側頭」を結ぶ靭帯で、大腿部の外側にあります。膝の繰り返しの曲げ伸ばしによって、大腿骨外側か部(骨)と、腸脛靭帯が擦れあうことによって、腸脛靭帯炎が起こります。腸脛靭帯摩擦症候群ともいえます。腸脛靭帯炎は長距離ランナーや、市民健康ランナーにもよく見られます。また下肢の形がO脚の人や、下腿が内側に捻じれている人に多い傾向があります。固いアスファルトの上での走行距離や、シューズに問題がある時にもよく起こります。
北京中医康針灸院の腸脛靭帯炎の治療目的は、腸脛靭帯炎の回復程度を高めることと腸脛靭帯炎が完治するまでの時間の短縮することです。
多くの西洋医学治療で回復できない腸脛靭帯炎患者さんの期待に応えるため、当院が25年間、腸脛靭帯炎治療に力を入れて、臨床経験を重ねた結果、独自な電気ハリを考案いたしました。そして良い成果を上げています。1998年11月1日より2008年11月1日までの10年間に北京中医康鍼灸院に来院された腸脛靭帯炎患者さん1331名を集計したところ:898名が完治しました。
腸脛靭帯炎の患者が多様なため、当針灸(鍼灸)院の治療方法もそれに応じて、多様に渡って行います。当院は中医学的な弁証論治の基本を元に、特殊な電気ハリで、最大限の効果を引き出しています。腸脛靭帯炎の膝痛みの完治は腸脛靭帯炎患者さんのスポーツ生活を復帰に役に立っています。
もう一つ注目すべきところは、完治した腸脛靭帯炎患者の多くは数年経っても、再発しませんでした。針灸は腸脛靭帯炎の再発の予防にも効果があることが分かりました。
過剰なランニング時間と距離、柔軟性不足(ウォームアップ不足)、休養不足、硬い路面や下り坂、硬いシューズ、下肢アライメント(内反膝)など、さまざまな要因があります。
腸脛靭帯炎は構造的な異常が原因で起こることがあり、たとえば膝蓋骨の位置が正常よりも高すぎるか低すぎる、膝蓋骨と筋肉の位置のずれ、太ももの裏側の筋肉が硬い、アキレス腱が硬い、正常なら膝の安定に役立つ太ももの筋力が弱いといった原因があります。治療が可能な原因として最もよくみられるのが太ももの筋力不足で、筋力が弱いために膝蓋骨が横に動いて太ももの骨とすれてしまいます。次に多い原因は、歩行中やランニング中に足の小指側に体重がかかりすぎる状態(回内)で、このとき太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)によって膝蓋骨が外側に引っぱられます。こうした力が一緒になって、膝蓋骨と大腿骨下端とのまさつが引き起こされます。
腸脛靭帯炎の西洋医学治療は、まず腸脛靭帯のストレッチング、アイシング、下り坂や硬い路面を走らないなどを指導します。さらに理学療法としては、温熱療法、電気療法、レーザ照射などを行います。消炎鎮痛剤の内服、シップや消炎鎮痛外用薬の塗布、また症状が強い場合は、ステロイド剤の注射を行います。O脚や回内足が強い場合は、ヒールウェッジや足底挿板を装着します。これらの保存的治療で改善のない場合は、腸脛靭帯の部分切離術が行われます。
太ももの内側の筋肉(内側広筋)を強化する運動:
両膝を伸ばし、両脚を大きく開いて床の上に座ります。つま先ができる限り外側に向くように、脚を外側に回します。その姿勢から、けがをした側の脚をももの付け根の部分からゆっくりと持ち上げて(膝は伸ばしたまま)、床から約25センチメートルのところで10秒間その姿勢を維持したら、ゆっくりと下ろします。この間、膝はずっと伸ばしたままです。これを1日おきに、10回を3セットずつ行います。
膝の角度が135度くらいに曲がるように、両膝の下にそれぞれまくらを置いて床に座ります。約2キログラムのウエートを足首につけて、ゆっくりと膝をまっすぐに伸ばして足を持ち上げ、それからまたゆっくりと下げます。これを10回ずつ3セット行います。負荷を増すには回数ではなく、ウエートを徐々に重くしていきます。
大腿四頭筋(太ももの前面)を引き締めて、膝蓋骨を持ち上げるようにします。この姿勢を約10秒間保ったら、力をゆるめます。
この運動を1日に何回も繰り返します。
保存療法が原則です。第1に局所の安静、つまり、ランニングの休止が重要です。次に、大腿筋膜張筋など股関節外側部を主としたストレッチの強化、アイシングを徹底します。さらに消炎鎮痛剤の投与や、超音波などの物理療法を行います。
いったん症状が出現すると、簡単には消失しないので発症初期の決断、適切な休養期間が大切です。同一側の膝の負担を軽くする目的で、たまには普段と反対回りのトラック走行も取り入れてください。手術治療は報告例がありますが、一般的ではありません。
膝関節外側部での疼痛を主症状とする、外側半月板損傷との鑑別が必要です。
腸脛靭帯炎の鍼灸治療症例 :腸脛靭帯炎患者1331名、取穴:阿是穴、血海、梁丘、膝眼、委中、足三里、陽陵泉。
腸脛靭帯炎の鍼灸臨床経験 :北京中医針灸院では、多くの腸脛靭帯炎の症状を完治、或いは改善してきました。今も多くの腸脛靭帯炎患者が通っていらっしゃいます。腸脛靭帯炎患者の一人一人の症状に合わせて、北京中医針灸院はきめ細かい針灸(鍼灸)治療を行っています。北京中医康針灸院の針灸(鍼灸)治療では、腸脛靭帯炎患者の回復と予後は良好で、多くのプロスポーツ選手は仕事に復帰が可能となりました。
腸脛靭帯炎の痛みが消失するまでは、走るのをやめることが大切です。体力を維持するための代替運動として、自転車こぎ(痛みがなければ)、ボートこぎ、水泳などを行うことができます。太ももの裏側の筋肉(ハムストリング)と前面の筋肉(大腿四頭筋)のストレッチ運動や、膝蓋骨を内側に引っぱる筋肉(太ももの内側の内側広筋)を強化する運動は有用です。運動用の靴にも日常使用する靴にも、土踏まずをサポートする市販の中敷きを入れるのもよいでしょう。ときに、足に合った中敷きをオーダーメイドで作る必要があります。
腸脛靭帯炎は鍼灸治療によって、局部の血管が拡張し、十分に血液が供給される状態で、増加した免疫細胞が筋付着部や靱帯の炎症を修復すると考えられます。
腸脛靭帯炎患者さん1331名、完治したのは898名でした。