前立腺肥大症
前立腺肥大症は膀胱の出口にある前立腺が年齢とともに肥大し、尿道を締め付けるため排尿困難となる病気です。前立腺肥大症は良性の腫瘍であり、がんではないので、いくら大きくても排尿がスムーズであれば心配する必要はありません。60歳を超えるとだんだん前立腺肥大症の症状があらわれてきます。
前立腺腫が増大すると、尿道抵抗が高まり、その結果として膀胱機能が影響を受け、複雑な様相を呈する。閉塞に伴う膀胱機能の変化による症状は排尿困難以外に頻尿、尿意切迫感、夜間頻尿などの刺激症状も現れる。なお、夜間頻尿は尿量が多いことも要因の一つとなることに留意すべきである。
前立腺肥大症は組織学的には細胞数の増加であり、増生が肥大より適切な表現である。前立腺腺腫の最初の発生部位は尿道周囲の移行帯に生じます。前立腺肥大症の初期の尿道周囲に生じる結節の成分は間質のみで形成されています。間質で形成された結節が腺増生を誘導し、成熟した肥大結節へと進展する。20年にも及ぶ前立腺肥大症の進展過程の初期における優勢な現象は結節の数が増加することです。続いて、個々の結節の大きさが増大します。とくに、腺性の結節の大きさは間質性の結節の大きさと比べて大きなことが多い。なお、間質性の結節と腺性の結節の割合は個々の症例でさまざまです。
前立腺の平滑筋が容積として占めている割合は大きく、その筋の緊張はアドレナリン作動性神経系により調節されている。前立腺にアドレナリン作動性刺激を加えると、平滑筋が収縮を起こす以外に他の反応も起こっている可能性があります。一方、アンドロゲンを低下させると上皮細胞数は減少するが、平滑筋を含む間質細胞数は影響を受けません。しかし、間質細胞の機能はアドレナリン作動性刺激の他に、アンドロゲンによっても関与を受けている可能性があります。
前立腺肥大症に伴う排尿症状は前立腺の大きさの増大とともに解剖学的構造も要因として生じます。例えば、中葉肥大では排尿症状が強く出現します。また、ヒト前立腺においては腺腫の外側に被膜が存在することも重要な要因です、腺腫を切除せず、被膜に至るまで腺腫に切開を加えることで、尿道抵抗が低くなり排尿状態が改善する症例も経験するところです。
尿道閉塞に対する膀胱平滑筋の初期の反応は肥大です。膀胱平滑筋の肥大は尿流を維持するための膀胱内圧の増加に順応した結果ですが、膀胱平滑筋細胞の細胞外、細胞内の変化を起こし、不安定膀胱を呈する機序となるものと思われます。尿道閉塞は膀胱平滑筋、細胞外マトリックスの変化とともに、下部尿路を制御する神経回路にも変化を起こします。尿道閉塞に伴う膀胱肉柱形成はコラーゲンの増加によるものです。
前立腺肥大症の最初は夜間頻尿(第1期)で、夜2〜3回排尿のため起きるようになります。そのうち、残尿がふえてきて、トイレに立ってもなかなか尿が出てこない、出始めても尿に勢いがなくタラタラと垂れてキレがわるいという状態になり、残尿感があり、昼間も頻繁(1時間に1回くらい)にトイレに通うようになります(第2期)。第3期は尿閉期で、尿がつっかえてほとんど出なくなります。特に排尿を長時間がまんしたり、大酒後に尿閉となります。
第1期 膀胱刺激症状期
前立腺が肥大し始め尿道を刺激するため、尿の回数が増えます(頻尿)。排尿後2時間以内に尿意をもよおすなら、頻尿です。さらに、尿意をもよおしてトイレに行ってから尿が実際に出るまでに時間がかかるようになります。
第2期 残尿発生期
膀胱を収縮させる筋肉の力が弱まり、膀胱内の尿を完全に出すことができなくなるため、排尿しても尿が完全に出きらなくなります。第1期には残尿感はありません。また、まれに出血することもあります。
第3期 膀胱拡張期または慢性尿閉期
残尿が進み、400cc以上の尿が常にたまった状態になります。この状態が長く続くと、膀胱の筋肉が伸びきってしまい、異常に拡張します。また、尿意があるにもかかわらずオシッコがまったく出ない(尿閉)状態が突然訪れます。
下腹部の超音波検査や直腸指診(直腸に指を入れて前立腺をさわること)によります。前立腺が大きくはれていれば前立腺肥大症です。前立腺がんでは石のようにかたいのですが、肥大症ではゴムまりのように弾性があるので、直腸指診で鑑別できます。前立腺がんとの鑑別のために血中の腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)を測定します。PSAが正常(4ng/ml 以下)であれば肥大症です。尿閉のときの救急治療はとりあえず尿道にバルーン・カテーテルを留置し、膀胱にたまった尿を体外に排泄することが肝腎です。いつまでもためておくと腎不全になります。
国際前立腺症状スコアI-PSS
合計点 0-7点 軽症、8-19点:中等症、20-35点:重症
| 全くない | 5回に1回の割合より少ない | 2回に1回の割合より少ない | 2回に1回の割合くらい | 2回に1回の割合より多い | ほとんど いつも | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| この1ヶ月の間に、尿をしたあとにまだ残っている感じがありましたか | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| この1ヶ月の間に、尿をしてから2時間以内にもう一度しなくてはならないことがありましたか | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| この1ヶ月の間に、尿をしている間に尿が何度もとぎれることがありましたか | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| この1ヶ月の間に、尿を我慢するのが難しいことがありましたか | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| この1ヶ月の間に、尿の勢いが弱いことがありましたか | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| この1ヶ月の間に、尿をし始めるためにお腹に力を入れることがありましたか | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| QOL | 0回 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| この1ヶ月の間に、夜寝てから朝おきるまでに、ふつう何回尿をするために起きましたか | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
前立腺肥大症鍼灸治療症例 :前立腺肥大症患者180名。取穴:曲骨、関元、三陰交、中極、内関、合穀、百会、足三里。電気針、50分間。お臍に間接灸9壮。
前立腺肥大症鍼灸臨床経験 :前立腺肥大症は近年、欧米では鍼灸による治療が増えています。とくに夜間頻尿、残尿感、「尿を出し終わるまで時間がかかる」などの症状の改善には、効果が早くて、前立腺肥大症患者さんが鍼灸治療を選択するようになったからです。
前立腺肥大細胞数の増加とアドレナリンの働きを抑えて、膀胱機能の機能をよくすると考えられます。
前立腺肥大症の有効率は90%。