三叉(顔面)神経痛の鍼灸治療
三叉神経痛の原因
三叉神経痛は、三叉神経の感覚障害による痛みです。顔の感覚の神経支配は、三叉神経です。三叉神経に神経痛が起こると顔面が痛みます。三叉神経痛は鍼灸が効果的な病気です。
三叉神経痛分類
- 真性(特発性)神経痛
真性神経痛は1つの神経に沿って発作性の電気が走るような痛みを起こす病気です。あごと口の部分では三叉神経痛がもっとも多く、舌咽神経痛、迷走神経痛、顔面神経痛(中間神経)が時にでます。
真性三叉神経痛の特徴は(1)40歳以上の女性に多く、(2)どこか定まったところに刺激が加えられると、それが引き金になってその神経に沿った場所に突然電気が走るようなビリビリとした激しい痛みが出ます。(3)痛みはすこしたつと自然になくなりますが、何度も再発します。夜(4)寝ているときには発作はほとんどありません。(5)神経に沿った痛みですから顔のまん中を越えないで片側だけに痛みが出ます。
三叉神経領域に帯状疱疹を来すと、疱疹のみられる期間だけでなく、疱疹が消失した後にも激しい神経痛を生じることがあります。年を取るのに従って、疱疹消失1ヶ月以上たってから痛みを起こします。現在のところ、有効な治療法はないというのが現状です。真性神経痛は1つの神経に沿って発作性の電気が走るような痛みを起こす病気です。あごと口の部分では三叉神経痛がもっとも多く、舌咽神経痛、迷走神経痛、顔面神経痛(中間神経)が時にみられます。
- 仮性(症候性)神経痛
以前は原因不明とされていましたが、ここ数十年で原因が明らかになってきています。三叉神経が脳から出たすぐのところで、血管が三叉神経を圧迫することによって起こるもので、40代の女性に多い三叉神経痛です。
三叉神経痛原因
- 脳腫瘍
- 動脈硬化
- 感染
帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルス感染症
- 神経損傷
多発性硬化症による神経の損傷
- 原因不明
三叉神経痛の症状
- 痛み
痛みは自然に起こりますが、しばしば顔・唇・舌の特定の場所(発痛点)に触れたり、歯磨きをしたり、ものをかんだりする動作がきっかけとなって起こります。三叉神経痛の痛みは特徴的です。痛みは強いですが、時間は長くありません。三叉神経痛の痛みは数秒のものがほとんどで、長く続く痛みの場合は違う病気が考えられます。三叉神経痛の痛みは色々な動作によって誘発します。洗顔、お化粧、ひげそりなどで顔の痛みは走ります。痛みのために歯磨きができないこともあります。特に触ると痛みが誘発する部分があり、鼻の横を触ると痛みが走ります
三叉神経痛の痛みは短く繰り返し、稲妻に例えられる、耐えがたい痛みが、顔の下半分のどこにでも起こりますが、最も多いのは鼻横の頬とあごです。普通は顔の片側だけに起きて、数秒間から長くて2分間ほど続きます。発作が1日に100回も繰り返すため、痛みのために何もできなくなります。強い痛みに顔をしかめることから、疼痛性チックと呼ばれることもあります。一般にこの異常は自然に治まりますが、長期間痛みが起こらない休止期間後に、しばしば再発します。顔面の感覚神経である三叉神経の領域に、通常片側(左右どちらか)に発作性の数秒から数分続く激痛が繰り返して起こるものです。数週から数ヶ月にかけて断続的に続くこともあります。ある特定の部位を刺激すると痛みを誘発する誘発帯という部分があります。ここを軽く刺激するだけで痛みが誘発されるところです。洗顔、髭剃り、歯磨き、咀嚼(そしゃく)などで誘発され、時には冷たい風にあたるだけで痛くなることもあります。また、齲歯(虫歯)の為の痛みと思い、歯科を受診し歯の治療をうけられる患者様もたくさんいます。神経学的には誘発帯の存在以外、異常がみられません。
痛みは患者本人にしかわからず、他人に話しても、理解が得られなくて悩んでいる患者様も多くいるようです。
三叉神経痛の特徴
- 薬テグレトールが効く
- 三叉神経の支配領域の顔面痛
- 発作性痛み
- 電撃様痛み
- 間欠期には症状無く
- 1日に数回おき、時として数ヶ月から数年の休止期があるが再発する発作性。
- 会話、食事、洗顔、歯磨きなど顔面の運動で誘発される顔面痛。
- 顔面や口腔内に触れると発作を起こす引き金となる部分、トリガー・ポイントがあり、触れると痛みが誘発されるなどです
三叉神経痛診断
三叉神経痛を確定するための特別な検査はありませんが、痛みが特徴的なため、医師には容易に診断がつきます。しかし、三叉神経痛と顔面に痛みを起こす別の原因である、あご、歯、副鼻腔の病気、腫瘍や動脈瘤に三叉神経が圧迫されて起こる三叉神経障害などとの区別が必要です。たとえば三叉神経障害では顔面の感覚が失われますが、三叉神経痛では失われません。
痛みの期間は短く、再発を繰り返すため、典型的な鎮痛薬は役に立ちませんが、一部の抗けいれん薬(神経膜を安定させる作用がある)は有効です。通常は抗けいれん薬のカルバマゼピンが最初に試みられます。もしもカルバマゼピンが効かなかったり、耐えがたい副作用が起きた場合は、フェニトインやバルプロ酸が処方されます。筋肉のけいれんを軽減するバクロフェンや三環系抗うつ薬が使われることもあります。
あご、歯、副鼻腔の病気、腫瘍や動脈瘤に三叉神経が圧迫されて起こる三叉神経障害、動脈の位置の異常による三叉神経痛は、神経と動脈を分離し両者の間に小さなスポンジを埋めこむ手術が行われます。この手術により何年間も痛みが抑えられます。原因が腫瘍であれば、腫瘍を切除する手術が行われます。
三叉神経痛とは脳神経5番の支配域に出てくる痛みです。三叉神経痛は3本の神経に分かれているため、邪魔をされる部分によって、痛みの出てくる部分がわかれます。三叉神経痛は原因が不明であることが多いですが、原因がある場合は上小脳動脈という脳の血管によって三叉神経が物理的に圧迫されておきます。顔面神経痛と呼ばれることもあります。
三叉神経痛の西洋医学的治療
- 薬内服による三叉神経痛治療
てんかん薬のカルバマゼンという薬で、8割以上の人は痛みが改善されます。この薬はてんかんの薬ですが、神経の伝達を抑えることによって痛みの情報が神経に伝わらず痛みを軽減します。このほかにも効果的な薬があり、やはりてんかんの薬で使われるものです。カルバマン以外は効果的に個人差があります。時に薬は副作用があり、問題になります。
- 神経ブロックによる三叉神経痛治療
特殊な薬で熱凝固システムを使っていて半永久的に遮断する方法です。三叉神経痛を一時的に麻痺させる麻酔薬を麻酔科的手によりを使って痛みが出ている神経に注入します。この方法の問題点は顔面の半分から一部のしびれや麻痺が後遺症として残ることや、新たな部分に顔面痛が出る場合があります。そのことにより高齢の患者や手術ができない方に考慮された治療法です。
- ガンマナイフによる三叉神経痛治療
放射線を患部に集中的に当てて、三叉神経痛を治療する方法です
- 手術療法による三叉神経痛治療
三叉神経が圧迫されて起こる三叉神経障害、動脈の位置の異常による三叉神経痛は手術をします。脳腫瘍が原因の三叉神経痛の場合は手術で腫瘍をとります。また、内服療法でもどうしても痛みが取れないという場合は手術を考えなくてはなります。手術は三叉神経痛の原因になっている脳深部血管の三叉神経への圧迫を手術によって取り除く方法です。
三叉神経痛手術の危険性
三叉神経痛の手術は脳腫瘍や脳脈硬瘤の手術の比べて危険性は低いですが、まれに後遺症がでる場合があります。
- 三叉神経痛手術による難聴・耳鳴り
三叉神経が、脳深部で聴神経と呼ばれる耳の機能を司る神経の近くにあるため、手術後に難聴や耳鳴りが起こることがあります。
- 三叉神経痛手術による髄液漏、中耳炎
三叉神経の手術後の時に削る頭蓋骨の場所が副鼻腔と呼ばれる空気の通り道が良く発達した場所で、脳を満たしている水が漏れだして中耳炎を起こします。
- 三叉神経痛手術による感染
三叉神経痛患者さんの抵抗力が弱いと術後、細菌性髄膜炎、脳腫瘍、皮下脳腫、硬膜外脳腫などの合併症が起こる場合があります。
三叉神経痛、片側顔面痙攣と舌咽神経痛
三叉神経痛、片側顔面痙攣、舌咽神経痛など血管が脳神経を圧迫することにより症状が出る疾患は、神経血管圧迫症候群と呼ばれています。三叉神経が上小脳動脈により圧迫され三叉神経痛が生じ、顔面神経が前下小脳動脈により圧迫され片側顔面痙攣が生じ、舌咽神経が後下小脳動脈により圧迫され舌咽神経痛が生じるわけです。三叉神経痛、片側顔面痙攣、舌咽神経痛などに対して、鍼灸、薬物治療やブロック治療を行うだけでなく、病状が進行された患者さんには後頭蓋窩神経血管減圧術(ジャネッタの手術)があります。
三叉神経痛の分布
三叉神経(さんさしんけい)は、12対ある脳神経の一つであり、第V脳神経と呼ばれます。この神経が眼神経 (V1)、上顎神経 (V2)、下顎神経(V3)の三神経に分かれることから三叉神経と呼ばれます。三叉神経は脳神経の中で最大の神経で、体性運動と知覚の混合神経です。
三叉神経のうち、知覚性の神経線維は、頭部の大部分に分布し、その皮膚感覚の大部分を司ります。三叉神経主知覚核、三叉神経脊髄路核、三叉神経中脳路核から、知覚根を作り、側頭骨錐体部の三叉神経圧根と三叉神経節を作り、ここを出てから眼神経、上顎神経、下顎神経に分かれます。
三叉神経体性運動性の神経線維は、眼神経及び上顎神経には体性運動性の神経線維は存在しなくて、三叉神経運動核からでて、運動根を作り、三叉神経節の下側を通り、下顎神経に合流します。
三叉神経の詳しい分枝
- 眼神経
鼻毛様体神経
涙腺神経
前頭神経
- 上顎神経
頬骨神経
眼窩下神経
上歯槽神経
翼口蓋神経節
- 下顎神経
深側頭神経
外側翼突筋神経
内側翼突筋神経
咬筋神経
口蓋帆張筋神経
鼓膜張筋神経
耳介側頭神経
頬神経
舌神経
下歯槽神経
三叉神経痛鍼灸治療法
三叉神経痛鍼灸治療症例と臨床経験
三叉神経痛鍼灸治療症例:三叉神経痛患者225名、男性134名、女性91名、年令は20〜60才。罹った期間の短い人は2週間、長い人は41年。取穴:攅竹、下関、魚腰、四白、承漿、合穀、曲池。低周波で、針体から微電流を50分ほど流し続けます。
三叉神経痛鍼灸臨床経験:三叉神経痛の真性神経痛は、ふつうの鎮痛薬では痛みが治まらないので、鍼灸は一番有効な治療法とはいえます、今までの経験では、有効率は89%にも達していますので、三叉神経痛で悩んでいる患者さんにぜひ針治療をお勧めしたいぐらいです。取穴では、三叉神経が骨、関節から出る場所のツボである下関(三叉神経の通るところ)、魚腰(眼窩上孔)、四白(眼窩下孔)、承漿(オトガイ孔)などが効果的です。
頑固な三叉神経痛の場合、両足の足裏の心穴、腎穴(涌泉)をも併用します。
三叉神経痛鍼灸治療のメカリズム
鍼灸の外周神経への影響:針刺激で、周囲神経の痛覚神経の痛み信号の伝達を遮断することによって、脊髄の傷害性刺激信号に対しての反応を抑制します。
鍼灸の中枢神経への影響:針刺激で、痛み信号の伝達及び感受を抑制し、脳の鎮痛システムを興奮することによって、鎮痛効果を発揮します。
鍼灸の中枢神経伝達物質への影響:針刺激で、脳のエンドルフィンを増やし、脳のカテコールアミンは減らし、また、脳のモルヒネをも増やします。これらの総合作用によって、鎮痛効果が得られます。
三叉神経痛鍼灸治療効果
三叉神経痛225名の中、全治は57%、有効率は89%。